「目線を上げろ」という甲斐バンドのアルバムの1曲目に「エメラルドの爪先」という曲がある。熱い肌のたわむれや荒波に涙し君の全てを殺してしまったという歌である。愛さえも死なせてしまったという歌詞だが、こうした殺してしまった!や死なせてしまったという俯瞰を歌う時、驚愕や項垂れる俯瞰するものは見えにくい。明るい曲調で歌うことでか、そうしたことが長く続いたりするようだ。心を殺したいだけらしい日本の若者というものが、普通にはどうにも理解しがたいもので、心というものを覗きたいと普通でなくなり覗いた後には殺したいんだ!と言って普通でなくなり殺したあとではどこが悪いんだ!と言って普通でなくなる。ちょっと普通にした方が、とは考えないあたりが理解しがたいばかりでなく、話し合いにならないと思うことなのであるが。何を理由に殺したの!と言って出てきてしまうかも信じがたいものだ。盗んだ服の袖が長過ぎたからから始まり、指輪を盗んで捨てたかったからなど凡そ人間に起きるわけがないとされている犯罪である。最後には、合格したと言うのを殺して自分が合格したことにするからと言うではないか。歌の中では、そうした秘密が暴かれる前に表面化した心を壊してまでも!或いは殺してしっまてでも!とレコードをこするだけで済まないか?という平和的解決を無視した歌がかなり恐ろしい様相を呈している。爪先というのは、バレリーナであれば続いていたのだが、エメラルドという宝石と砂に埋れていってしまう。砂漠というやり過ぎを思わせる地と野良猫でしかなかった砂場を盗んだそれで買ってくれるはずだという女のふりをしたもの。国などというもののわけもないものを砂場の持ち主のはずだと言って日本国まで行き着いた野良猫というもの。君の全てを殺してしまったというのは、どういうことなのだろう。理由は何もなさそうだ。殺したなどという物騒な話だが、悪いと思ったことなんかないんだと叫ぶ人ばかりだ。今日のランチ代1500円が理由なのだろうか。
君の全てを殺してしまった
